第279章

 思いがけず、彼女は病院で知り合いに出会った。

 望月安、三年ぶりに再会した安兄さんだ。

 望月安の姿を目にした瞬間、前田南は驚喜の声を上げた。

「安兄さん」

 望月安と斎藤奈々のことは、すべて知っている。望月安がかつて自分にしたことも含めて。しかし、人は聖人君子ではない。

 彼が自分を助けてくれたのは事実だ。

 傷つけられたというなら……望月琛こそが、本当に許せない存在だった。

 望月安はただ遠くから前田南の姿を一目見るだけのつもりだったが、まさか本人に見つかってしまうとは思ってもみなかった。

 前田南の顔に浮かぶ喜びを見て、望月安は思わず愕然とした。

「南……俺を、恨ん...

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